バッテリー上がり防止機能付デサルフェーターの自作

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去年PCXのバッテリーを上げてしまい、
その時は安定化電源で充電をしてなんとかなりました。

PCXはキーがハンドルロックか0位置なら良いのですが
1やSEAT/FUELだと微電流が流れて弱っているバッテリーなら
バッテリー上がりの原因になります。

バッテリー上がりを起こしてから、再度バッテリー上がりは発生していませんが
JF81搭載のバッテリーは大きく、値段も高いため、
どこまで効果があるか分かりませんがデサルフェーターで使う事にしました。

デサルフェーターの自作

デサルフェーターは何年か前にも作っています。
【関連】バッテリ回復・デサルフェーター3号機製作

今回は、デサルフェーターがバッテリー上がりの原因とならない様
バッテリー電圧が13V以上、エンジンが掛かっている時のみ稼働する様にしました。

前回は、大きめに作っていましたが、今回はメットインで邪魔にならない様
にしたいので、なるべく小型化しました。

6cm×3cmの大きさに作ったデサルフェーター

なんとか、6cm×3cmの大きさに収まりました。

参考にしたサイト

回路図

バッテリー上がり防止機能付デサルフェーターの回路図

回路図はltspiceでシュミレーションしたものをそのまま、使用しています。
実際に使用している部品は、以下の部品表の通りです。
ツェナーダイオード(D2)はマルツオンライン、他の部品は秋月電子で購入しました。
一部抵抗はこちらを使用しています。

アマゾンのレビューを見ると、誤差が1%よりも大きかったり、
カーボン抵抗ではないか?と書かれているのでNE555の周波数を決める
R1、R2には使用しない方が良いかもしません。
今回はR1ではこの抵抗を使っています。

部品表

記号品番・備考
R168kΩRa
R24.7kΩRb
R310kΩLED電流制限用
R4510Ωツェナーダイオード電流制限用
R5150ΩFETゲート抵抗
R6220kΩFETプルアップ
C12200pF(0.0022μF)
C2220μF100μFでもOK
C3180μFOS-CON 180μF25V105℃
D11N5822 ショットキーバリアダイオード40V3A
D21N5243B 13Vツェナーダイオード
D3LED
L1200μHトロイダルコイル 200μH9A
L21mHマイクロインダクター 1mH
Q1トランジスタ 2SC1815
M1MOS-FET 2SJ349
P1RXEF090 ポリスイッチ 0.90A 

説明

最初は、PICなどのマイコンを使って作ろうかと思いましたが、
今回もNE555を使う事にしました。

理由はOFF時の消費電力で、マイコンだとスリープ機能を使ったとしても
0.5mAぐらいは消費してしまいます。
このデサルフェーターではツェナーダイオードで電圧検知していますが
OFF時はltspiceでのシュミレーションでは30μA、
テスターでの実測では0.000Aとなりバッテリー上がり予防効果がより高いです。

デメリットとしてはツェナーダイオードの電圧検出には幅があるので
実測で13.1VぐらいでLEDがうっすら点灯し、13.25ぐらいでLEDが点灯しします。

バッテリーは無負荷状態だと12.8Vぐらいなので、バッテリーだけの時は
デサルフェーターは動作せず、エンジンを掛けないと動作しません。
エンジンを切ってもしばらくは電圧が高いので、その間は動作します。

消費電流は、電源で13.0Vで0.000A 、14Vで0.04A(40mA)ぐらいです。
半日安定化電源で動作確認していましたがFETがほんのりと暖かく、
L2が暖かくなっていました。
熱くなっている部品は無かったので、放熱対策は無しで良さそうです。

安定化電源での動作確認中はマイナスにインダクタをかまして、
パルスが安定化電源の方に流れない様にしました。

ここからは部分別に紹介します。

バッテリー上がり防止機能付デサルフェーターの回路図、部分別

NE555発振回路(赤)

前回はNE555の周期などはクーパーさんの回路図をそのまま使用しましたが
on時間を短くし約7μSにし、周波数も1.2kHzから8.4kHzにしました。
周波数は10kHzぐらいが良いらしいので、近い8kHzにしました。

動作LEDは昔、L1両端に取り付けていた事がありましたが
LEDががよく壊れたので、NE555側に付けました。

NE555側に付けることで、ツェナーダイオードの電流遮断が
効いているのか確認する事が出来ます。

コンデンサ(C2)は手持ちがあったので220μFにしましたが
100μFぐらいでもOKだと思います。

ツェナーダイオードと電流遮断回路(オレンジ)

この回路を入れる事で、バッテリー電圧が約13V以上にならないと
デサルフェーターが動作しない様になります。

R4は電流が流れすぎない様に、ltspiceでシュミレーションして
510Ωにしました。

ネットの記事や、ltspiceでシュミレーションでは
13Vのツェナーダイオードを使ってもQ1のベースエミッタ間飽和電圧の影響で
NE555がONになる電圧は13.6Vぐらいでした。
実際には13.2Vぐらいでした。

ゲート抵抗とプルアップ抵抗(水色)

ゲート抵抗はこちらを参考にしました。
FETのゲート抵抗の決め方

ゲート抵抗無しのデサルフェーター回路図もありますが、
あった方が良いと思います。

ネット上のデサルフェーター回路図にはゲート抵抗(R5)の両端にコンデンサが付いています。
これはスピートアップコンデンサと言い、FETやトランジスタがより早くスイッチング
できる様にするものの様です。

ただ、ltspiceでシュミレーションしても、無くても波形に違いは無いので
今回は省きました。

プルアップ抵抗(R6)はツェナーダイオードの電流遮断回路が
無い場合は不要です。

ツェナーダイオードの電流遮断回路でNE555の電源電圧が遮断されると
NE555のOUT端子がフリーになります。

そうなると、静電気などでFETがONになってしまう可能性があるので
その予防のために入れています。

FET・インダクタ・他(紫)

今回も200μHのインダクタはコアが大きいモノを使いました。
コアの大きいモノを使う事で、磁気飽和対策になります。

磁気飽和とは、簡単に言うと
インダクタのコアが磁化している時は、磁化に電力を消費し、
また大電流が流れる事はありません。
電流が流れている時に、インダクタのコアが磁化されきってしまうと
電気的にはコアなしのコイルと同じになるので、大電流が流れます。
大電流が流れる事で、FETやインダクタがチンチンに熱くなります。

磁気飽和させないには、on時間を短くするか、インダクタのコアを大きくする
この2があります。
このデサルフェーターではon時間が約7μSと短いので、これ以上短くすると
デサルフェーターの効果が薄まりそうです。

デサルフェーターのパルスはD1を介してマイナス側から出るので
プラス側にポリスイッチを付けました。

D1は元々はファストリカバリダイオードでしたが
上の参考にしたサイトを元に、ショットキーバリアダイオード
に変更しました。

コンデンサ(C3)は元々、低インピーダンス品と指定があるので
今回は低ESRなOS-CONを使用しました。

インダクター(L2)はD1から出たマイナスのパルスをNE555の方に
入れない為に入れています。
人により入れる箇所が違う事があります。

外部充電回路

外部から14Vぐらいを入力する事でバッテリーを充電できます。
ポリスイッチで0.9Aに制限しているので外部入力側で
数Ωの抵抗を入れて電流を制限する必要があります。

デサルフェーターがONの状態で連続充電すると過充電になる可能性があるので
マイコンなどで無負荷時のバッテリー電圧を監視する必要があります。

ただし、普通に充電すると、バッテリー電圧が13Vよりも上がらないため
デサルフェーターがONになりません。

そこで、マイコンなどで制御できる様にON/OFF端子を付けました。

動作確認

オシロスコープがあれば、パルスを確認出来ますが、
使えるオシロスコープが無いので、以下の2つで動作を確認します。

  • インダクタからチーと言う小さな音
  • AMラジオのノイズ

今回のデサルフェーターはon時間が短いので端子接続時のスパークは
ほとんどありません。

ケースに入れた

基板の裏や、フィルムコンデンサ、立てた状態で実装した抵抗は
動いてショートや断線を防ぐために、
グルーガンで固定しました。

メットインに入れるので、ヘルメットなどと当たる可能性があります。
インダクタなどの部品に当たることでハンダクラックが発生する可能性があります。

そこで、3Dプリンタ製のケースを作り入れました。
今回もサイズを測り、Fusion360でモデリングしました。
【参考】初めての3D CADはTinkerCADかFusion360がおすすめ

3Dプリントで作ると大きさを合わせられるのと、ケーブルを通す穴などの
穴あけ作業が無いのでとても楽です。

3Dプリンタ製のケースに入れた6cm×3cmの大きさに作ったデサルフェーター

基板とケースは、スペースが無いので今回がグルーガンで固定しました。
下側の2.1mmジャックが充電用で、左側の緑色のコードがON/OFF端子です。
ON/OFF端子は、みのむしクリップで接続予定です。

バッテリークリップをクワガタ端子に交換し、
タッピングビスでフタを固定しました。

エーモン(amon) クワ型端子 穴径φ6 AV(S)0.5~2sq 8個入 3316

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クワガタ端子はこれを使いました。

ターミナルをクワガタ端子にし、タッピングビスでフタを固定した、自作デサルフェーター

あとがき

このデサルフェーターをPCXのバッテリーに取り付けたので
今後様子を見てみたいと思います。

ただ、客観的なデータがあった方が良いので
内部抵抗もチェックできる格安なCCAメーターを購入しました。

デサルフェーター取り付け前は内部抵抗が18.33mΩでした。

動作しなくなった

先日、エンジンかけてもLEDが点灯しなかったので
取り外して点検したら、壊れていました。

故障箇所は、L2の1mHマイクロインダクタで
通常であれば抵抗値が8Ωぐらいですが、6kΩになっていました。

15Vの電源につないでも、徐々には電圧上昇していましたが
1.5Vぐらいだったので、NE555は動作できないと思います。

バッテリー上がり防止機能付デサルフェーター、L2交換後

部品はあったので、部品を交換し、動作確認できました。

L2は最初の動作確認時より、発熱があるので再発する様なら
抵抗の低い(内部巻線の太い)インダクタに交換しようかと思います。